こんなにも、私は愛されてたのに。


「帰るぞ。みんな心配してる。」


「うん。」


バサッ、って龍矢は自分の着ていたコートを私にかけてくれて。


そのまま、だっこしてくれた。


龍矢のにおい。


ぬくもり。


すべてが暖かかった。


「これでまた風邪引いても、俺は面倒見ないからな。」


「なっ、龍矢の意地悪。」


「心配すんな。家帰ったら、すぐに温めてやるからさ。」


「どーゆー意味よ。」


「こーゆー意味。」


龍矢の暖かな唇が、私の冷たい唇に落ちてきた。


「もう。」