「もういいよ。龍矢のばか!」


私の話も真剣に聞いてくれないの?


いらないってことだろって。


どうしてそんなことが、簡単に言えるの?


龍矢にとって、私はそんな簡単なものだったの?


もう、やだ。


ちょっとした言い合いが。


こんなに大きくなちゃった。


「美和様、どちらに?」


「ちょっとお散歩。」


玄関を出るとき、メイドさんに声をかけられた。


なにも考えずに、そう答えてた。


「早くお戻りください。もうずいぶん暗いです。」


「はい。」


どこに行くわけでもない。