「いってきます。」


玄関を開けたら、誰かに手首をつかまれた。


「そんな格好で行くつもりか?」


「龍矢。」


「もっと厚着してけ。また風邪ぶり返すぞ。」


風邪で学校を休んで2日。


久しぶりに学校に行く。


「やっぱ車で送らせるかな。」


私にマフラーを巻きつけながら、龍矢がつぶやいた。


「いいよ。もう大丈夫だから。」


あんな車で送られたら、また由衣にとかに見られるよ。


「まだ咳でるだろ。」


「もう、心配症なんだから。行くからね。」


私は龍矢の手を振りほどいた。


「あっ、そうだ。龍矢も遅刻しないでね?」