名前を呼ばれたと思ったら。


唇同士が触れた。


驚いて目を開けた。


「姫様が目覚めたわ。お城の者も、起こしましょう。」


劇は何事もなかったように、進んでいった。


最後のダンスシーン。


「誰かに気付かれたらどうするつもりだったのよ。」


「あの角度なら、誰も見てない。」


さっきのことを、小声で抗議した。


そしてら、あっさりそんな答えが返ってきた。


「大勢に見られてキスするってのも、いいもんだな。」


「私はイヤ。」


「じゃあ、帰ったらたっぷりしてやるよ。誰も見てないところで。」


「龍矢のバカ。」


「それでも好きなんだろ?」