怒りが収まっていない真奈美先輩の背中を、私はギューギュー押していく。
「先輩の教室まで送りますから、私のリボンを結んでくださいね」
「亜里沙はたまに甘えてくるところが、ほんと可愛いんだよね」
昇降口で室内シューズに履き替えた頃には、先輩の機嫌も直っていた。
私が真奈美先輩と仲良くなったのは、1年前。
階段下で、隠れて泣いていた真奈美先輩。
私が通りかかって、声をかけたんだ。
真奈美先輩の話を聞きながら、ブチギレちゃった。
だって酷いんだよ。
その当時付き合っていた、先輩の彼氏。
今は卒業して、もうこの学園にいない人なんだけど。
救いようがないほどのクズだったんだもん。
女遊びが激しすぎる、浮気の常習犯で。
真奈美先輩が稼いだバイト代を財布から抜き取っては、他の女とのデートに使っていて。
そんなことを聞いたら、怒りのリミッターがブチッといくよね? 誰でも。