柚葉ちゃんが直月の隣に立った。
まるで私の場所と言いたげに、満足そうに微笑んでいる。
悲しみに押しつぶされそうな私。
気を抜いたら、涙がこぼれそう。
弱すぎる自分が、ほんと嫌になる。
こんな重苦しい空気なんて、まとってちゃダメだ。
一瞬だけ笑顔を作って
「風紀委員のお仕事、頑張ってね」
そう言って、昇降口まで走ろう。
地面に突き刺していた視線を上げようとした、次の瞬間
「リボン結ぶのヘタすぎ。やり直してあげる」
私の胸元のリボンが、スルスルっとほどかれた。
一本の細長い布が、朝の風にヒラヒラと揺れている。
私のリボンを手にしているのは誰?