思わず目をそらすと左には理乃の角張った手が見えて、ようやく自分の状況を理解した。


っ、壁ドンされてるっ……!?

「り、理乃!何してんの!離れて……!」


「やだ。で、こーされて紗羅はどーすんの?」


「……なんもできない、です」

「ん。だから1人で無理しないこと。おれとの約束ね?」


「……分かった」


なんだかよく分からない約束を取り付けられたけど、これ以上壁ドンされるのも困るし、理乃に反論はできない。


確かにあんな状況になったら私1人の力じゃどうしようもないし……。


「でも、理乃に迷惑っていうのは変わりないよね?」


「俺は紗羅が怪我とかして帰ってくる方が後悔して迷惑」


「後悔?なんで?」


「俺がその場にいれば助けられてたのにって」

「……そっか、ごめん」


真剣そうに睫毛を伏せた姿に、なんでそこまで真剣なのかと思わずドキドキしてしまった。


.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚

学校に着いて時計を見ると、家を早く出たからかまだまだ時間が有り余っていた。