思わず目をそらすと左には理乃の角張った手が見えて、ようやく自分の状況を理解した。
っ、壁ドンされてるっ……!?
「り、理乃!何してんの!離れて……!」
「やだ。で、こーされて紗羅はどーすんの?」
「……なんもできない、です」
「ん。だから1人で無理しないこと。おれとの約束ね?」
「……分かった」
なんだかよく分からない約束を取り付けられたけど、これ以上壁ドンされるのも困るし、理乃に反論はできない。
確かにあんな状況になったら私1人の力じゃどうしようもないし……。
「でも、理乃に迷惑っていうのは変わりないよね?」
「俺は紗羅が怪我とかして帰ってくる方が後悔して迷惑」
「後悔?なんで?」
「俺がその場にいれば助けられてたのにって」
「……そっか、ごめん」
真剣そうに睫毛を伏せた姿に、なんでそこまで真剣なのかと思わずドキドキしてしまった。
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学校に着いて時計を見ると、家を早く出たからかまだまだ時間が有り余っていた。