一度、自分の気持ちを言葉にして認めてしまうと、こんなにも違うのかとわれながらびっくりしてしまう。
 思いきって凌士の元に飛びこんでしまえば、ただ安心だけがそこにあった。

「今日は、肌が熱くないか? あさひこそ、風邪を引いていないだろうな」

 凌士があさひの肌にシャワーを浴びせてボディソープを洗い流しながら、もう一方の手で首元から胸を通って腹までを撫で下ろす。
 ずぶ濡れでは食事もままならず、あさひたちは女将に頼んでお弁当を作ってもらい、凌士の部屋に帰ったのだった。

「熱いのは、凌士さんが触るからです……」
「そうか。風邪だけは引くなよ」

 凌士は真顔で言いながら、背後からあさひを抱きすくめる。
 不埒な手が濡れた肌を楽しむように触れ、あさひは腰を揺らしてあられもない声を上げた。

「可愛いな。いつまででも見ていられるが、どれだけ触れても足りない。だが……」
「凌士さん?」

 ふり向くと、髪も肌も濡れて滴るほどの色香をまとった凌士がけげんそうにする。

「あさひ、今日はやけに感じていないか?」
「ッ……」
「風呂でするのが好きなのか?」
「まっ、真顔でそんなこと訊きます? お風呂がどうとかじゃなくて、凌士さんを好きって意識したら急に……」

 あさひは勢いよくうつむいた。だってしかたないでしょうと言いたい。

 想いの深さを伝えられる抱きかただけでも、体の芯が痺れてしまうのだ。

 そこにあさひ自身の感情が合わさった今、体がこれまでにも増して歓ぶのは当然だと思う。

(そんなにわかりやすかった……!?)

 うつむいたあさひのうなじに、凌士が甘く(かじ)りついた。また体が跳ねる。

「あさひ、こっちを向け」

 いま凌士を見たら、きっと心臓が爆発してしまう。あさひはかぶりを振った。