意味がわからなかった。

早間は花蓮については何も教えてくれないし、早間ほどの企業の娘が姿を消したのにニュースにもならないしなんの噂もたたない。

情報隠匿のために、莫大な資金が動いている。そう勘ぐらずにはいられなかった。
そういえば、ゆかりの時もなにも情報はでていなかった。
花蓮が教えてくれたから知れた事だ。


母親に行方を詰め寄ったが、話をするのも忌々しいといった態度であった。

「だから、あの女の子供なんて育てたくなかったのよ。利用できると思ったから面倒みてたけど、幼いうちに施設にでもだしてくれればよかったのに」

ただ男と駆け落ちした。婚約の話はなかったことにしてくれと言われ、心配などまるでしていない。
会社間の提携も揺らぐのではと、昴の両親も困惑した。

すぐに手放すような事態にはなっていないが、このままの状態ではブランドも買収か消滅になりかねない事態だ。

(駆け落ち?)

――――そんな馬鹿な。

彼女の性格からして、それはあり得ない。
花蓮は、人を裏切るような真似はしない。

意見が食い違えば互いを尊重し話し合う事ができる子で、大きな喧嘩もなかった。

(順調だと思っていたのは俺だけだったのか?)

他の同世代のカップルと比べると、会う頻度や接触……ようするにいちゃつくことは少なかったが、自分達の間には切っても切れない絆を感じていたし、もっと心の深い部分で繫がっていると信じていた。

意味のないデートを繰り返すだけなどと言う、浅い付き合いではない。