初めて会った時、花蓮は十四歳。中学生だった。高校三年の昴からみたら、とてつもなく子供だ。

二つ上に姉がいるのに、あてがわれたのが次女だというもの見下されている感じがした。

花蓮の第一印象は、綺麗な顔立ちだが地味で大人しい。母親のイエスマンで自己主張がない女だと思った。
派手で華やかな母親とは正反対だ。

突然の話に不満はあったが、公式に婚約者という相手ができることで言い寄ってくる女たちが大人しくなるのなら、マイナスなことだけではない。

現状彼女に不満はないし、将来的な打算もある程度はある。嫌になったら適当に話を付けて別れればいい。

表面上は付き合っていこうと決め了承した。

花蓮が中等部を卒業するまでは、親の目もあり家族で顔を合わせる程度。
高校に上がると、月二回程度食事に誘うようにした。

誤算だったのは、花蓮が性格も容姿も昴の好みだと気がついたことだ。彼女は歳を重ねる度に綺麗になった。

同時に、家族同士で会う回数を重ねるたびに、花蓮の立場に違和感を感じることが多くなった。
溺愛された箱入りのお嬢様だと思っていたが、親子の会話はとても事務的で愛情が感じられない。

母親の意見が強く、父親はそれに弱い。

時折虐げられているように感じることもあったが、それが深刻だと気がついたのは、花蓮が大学生になったある日、家を出たいと零した時だ。