それからトンボの妖精は、月の妖精のことを色々と教えてくれた。
 月の妖精のもとに人間の魔女がたまにやって来ること。ボロボロになった羽の薬をトンボの妖精のために作っていること。(トンボの羽の妖精は、羽が頑丈ではないから破れると治りにくく、冬を越せないそうだ)そのお礼に薬草になる草花を届けていること。そして、この辺では1番の長生きだということ。
 落ち込んだ気持ちはすぐに消え去り、私は再び期待に満ちた心で満月を待った。
 トンボの羽の妖精たちとはすっかり仲良くなり、ずっと一緒に暮らせばいいとまで言われるようになった。
 嬉しい申し出だけれど、私は断った。私の最終目的はフィオンのところへ行くことだ。
 それに、バイオレットは故郷に帰りたいだろうし。
 トンボの羽の妖精たちを見ていると、故郷を思い出す。
 そういえば、仲間には行き先も告げずに飛び出してきてしまったことを思い出した。私たちのことを心配しているかもしれない。