良かった、職員の人が探し当ててくれたんだ。
 と思ったけれど、入って来たのは、

「美良……!」

 聡一朗、さん……!?

 その姿を確認した次の瞬間、駆け寄ってきた聡一朗さんに私は抱き寄せられていた。

 涙がさらに込み上げる。

 私を抱き締める腕は、とても力強くて温かかった。

「聡一朗さんごめんなさい……。私がどじをしてしまったから」
「解かっている。全部知っているよ。紗英子君を問い詰めたら白状した」

 問い詰めた?
 聡一朗さんがそんなことをするなんて、と思うものの、大事なことを思い出してはっとなる。

「授賞式は?」
「ああ、俺がいなくて遅れているだろうな」

 私は聡一朗さんの胸元から顔を上げた。

「私のせいで、そんな迷惑を……!」
「いいんだ」

 聡一朗さんは私の頬を両手で包んで、微笑んだ。