私たち二人の席は結構離れていて、話しかけにいくのもちょっと大変なんだ。
「あ、今日ゆい食堂ー?」
「うん、そうだよ」
「じゃあ一緒に行こーっ♪やった、ゆいとお昼食べるの久しぶり」
「まぁ、確かに。いつもは私お弁当だしね」
杏月の喜びっぷりを見るのが面白くて、何だか私まで嬉しくなってしまう。いつもは私は教室でお弁当、杏月は食堂で昼食を取るからバラバラになってしまうんだ。
杏月がぎゅっと私の腕に自分の腕を回して抱きついてくるのはいつものこと。きっと、これは杏月の沢山ある中の一つの癖。
フレンドリーで可愛い彼女は愛されキャラで、私以外ともよく他の子と話したりしている。
私もあれだけフレンドリーになれたらもっとクラスに馴染めるんだけどなぁ……。
なんてそんなことを思いながら、私は杏月と一緒に食堂に向かった。私たち高三のクラスは四階まである南校舎の三階にあるのだけど、幸せなことか食堂もその階にあるのだ。