僕が紅茶を口にすると、アイナも続いてカップを手に取った。
 今日のお茶で使われている茶葉は、僕がアイナにプレゼントしたものだ。
 とある家で開かれたお茶会でこの茶葉を知り、これはアイナが好きだろうと感じた。
 銘柄を確認してシュナイフォード家にも取り寄せ、家族と一緒に味見もしてから未開封のものを彼女に渡した。
 ……これでアイナの好みを外したら、ちょっと悲しい。

 アイナがカップを傾け、紅茶を口に含む。
 彼女の水色の瞳が輝いた。
 どうやら、彼女の好みを当てにいけたみたいだ。

「気に入ってもらえたかな?」

 上機嫌にそう聞くと、アイナはどこか恥ずかしそうに頷いた。
 
 

 ラティウス邸を出る前に、睡眠時間を削らないようにとアイナに伝えた。
 しつこいと思われるかもしれないけど、無茶をして身体を壊してほしくない。
 はい、と答えてはくれたから、少しは気を付けてくれる……といいんだけど。