サラサラした黒髪は背中まである。長い黒髪をハーフアップにして、頭部のやや下で、白いリボンで、その髪を留めていた。

精神科に来る患者にしては、大変似つかわしくない
まるで日本人形か、どこかのご令嬢を思わせる女性だった。

白いワンピースには、えりと、手首と、スカートの裾に可愛らしいレースがあしらわれ、清潔感と品格を感じさせた。

背は小さいながらも、細い手足にワンピースと合わせた白いハイヒールと、爪には白いパールのネイルが施されていた。しかし、腕時計を含めた装飾品は
一切身につけていないのも特徴的だった。

大学病院の精神科に訪れる患者としては不自然なほど、礼節が保たれ、穏やかな微笑みを浮かべた日本人形のような、どこかのご令嬢のような女性が静かに診察室へ入ってきた。

津川理緒、彼女だったー