場面は変わって、こちら、ホットケーキ王子です。
「それでは、みわちゃんを出すとしよう。はっはっは!」
ヒラリ。マントをひるがえすと、みわちゃんが出てきました。
「あ、あんた誰よ?何するん?」
「僕はホットケーキ王子。そう言ってるじやないか。」
「うそや!王子っていうのはひとしくんみたいな子のこと言うんや!」
「あっはっは。彼はもう今頃三色団子マンにやられているころだよ。」
「・・・ひとしくんがやられるわけないやろ。」
「みわちゃん、やっと二人きりになったわね。おいしいものもたくさん食べたね。」
「全部ニセモノやったんか!帰るわこんなとこ!ひとしくんとこいくわ!」
「・・・僕はねぇ、実は・・・。」
ホットケーキ王子は赤いマントをひるがえして、真っ黒なマントになりました。
「ポッドゲーギ大魔王なのさ!」
体も大きくなり、2メートルほどの真っ黒なマントをひるがえして、真っ黒なマントをつけた化け物に変わりました。
「それがあんたのホンマの正体やってんな。あたしをどうするつもりなんや。」
「僕はみわちゃんみたいなぽっちゃりの女の子が大好きでねぇ。もっと太らせて食べようと思って、ここまで連れてきたのさ。邪魔者はいないし、これで君をたっぷり味わえるよ。」
「変態やな。食われてたまるか。こらっ、放してや!」
「みわちゃんはもう食べられる運命にあるんだよ。」
「運命っていうのは自分で切り開くもんや!」
みわちゃんは足で、思いっきりボッドゲーギ大魔王の股間を蹴り上げました。
「うわぁ!いたい!」
「みわちゃんは走って逃げました。ただ、太っているのでそんなに早くもなく、すぐに息切れがしてしまいます。
「う〜ん、こんなときはお腹の肉を恨むわ。」
「ま、待て〜!」
「ゼイゼイ、ハァハァ。あっ行き止まりや。」
みわちゃんは壁にぶちあたってしまいました。
「ふ、ふふふ。みわちゃん、なかなか強い女の子だね。そういうところもいいね。」
見ると、股間を押さえながらボッドゲーギ大魔王がすぐ後ろにせまっていたのです。
「キャー!」
「逃げられないよ。」
「キャー!ひとしく〜ん!!助けて〜!!」
「みわちゃんお待たせしたな。おい、そこの変態。みわちゃんから離れろ。」
なんと、折れた串の棒を担いだひとしくんが後ろから現れたのです。 
「ひとしくん!無事やった!」
「な、何?君はどうやってあの三色団子マンを倒したのだ?」
「はっ。足でまず飛んでくる串を受け止めて、投げつけられた団子は全部食ったったんや。明日お腹痛いやろうなぁ。ま、あんなもん、おれの敵ちゃうわ。」
「・・・君は僕が倒してあげよう。」
「かかってこい。」
二人はにらみ合いました。
「ボッドゲーギパーンチ!」
「当たるかいそんなもん。それひょいひょい♩」
「ボッドゲーギキック!」
「たぁ!簡単にはじける蹴りやな。」
「うぬう。強いやつだ。これでどうだ?」
そう言うと、ボッドゲーギ大魔王は大きなホットケーキでひとしくんを包み込んでしまいました。
「あっ!ひとしくん!」
「ふふふ。僕の勝ちのようだな。はっはっは!」
「アホ。チャンスいうやつじゃ。これでも食らえ!」
ドーン!ピシャー!
「醤油でしょうゆうことや〜!」
ひとしくんは醤油を思いっきりボッドゲーギ大魔王に向かってかけ始めたのです。
「うわぁ!合わないよ〜。それにしょうゆうことってギャグ?」
「関西人なら笑いで勝負やからな。勝負あったな、ボッドゲーギ大魔王。」
「あははは!さすがひとしくんやわ!ボロ勝ちや!」
「みわちゃん、もうこれで誰にでも着いて行ったらあかんってよう分かったやろ。」
「うん。。。ごめんなさい。」
「さぁ、一緒におれの家帰ろう。」
「どうやって帰るんやろうなぁ。」
「このマントの中に入ればまた帰れるんちゃう?」
「わかった!せーの!」
ピョーン!
二人はマントの中に飛び込みました。真っ暗ですが、二人は手を繋いで堂々と歩いていきました。
「ねーむれー。ねーむれー。母の上に。ねーむれー。ねーむれー。母の手にー。」
どこからともなく子守唄が聴こえてきました。
「ひとしくん、あたしなんか眠たくなってきたわ。」
「おれもや。寝よか。」
「お休みひとしくん。」
「お休みみわちゃん。」
・・・こうして二人は寝てしまいました。