「あんた…昔、恋愛で何かあったの?」

普段とは違う私の態度に驚いたのか、彼女が口に運びかけたおかずを戻し、真剣な表情で聞いてきた…

「べっつにー」

私は、わざとおどけた様に答え、コーヒーを取りに席を立つ…

「あんたさ…いい加減、真剣に自分の恋愛考えた方がいいわよ…」

彼女が、椅子を回し私の背中に話し掛けてくる…

「いいのよ…私はこれで」

コーヒーを注ぎながら、彼女に答える

他人に、勝手な幸せの形なんて、押し付けられたくない…

幸せかどうかなんて、個人が思う事だ…

「私は、今の方が幸せなのよ」

私は笑顔を作り、彼女に振り向いて言った

「じゃあ、あんたの言ってる幸せって何?」

彼女は、形よく整えた眉を下げながら聞いてきたので、私は席に戻り、彼女の顔を見ながら答える…

「自分の時間を、充実させること?」

私はコーヒーに視線を戻し、立ち上る湯気を見ながら答えた

「1人の時間を大切にしたいだけ…何て言ったらいいのかな…?1人で居ると時間を余す時もあるし、1人で居たい時もある…だから、そのバランスがとれなくなったら、サヨナラするだけよ」