高校生になって初めてのゴールデンウィークが終わった。
久々の学校。そこそこの勉強しかせずに入った高校に慣れ、一緒にお弁当を食べるような友達もできた。多分、平穏な日々。

でも正直言うと、思ってた高校生活とのギャップに心が締め付けられる。意味のないような宿題は多いし、友達との会話も同じようなことばかりで楽しくない。
高校生活で楽しいことは今の所、一つもない。

憂鬱な朝。バスに揺られる。
学校に行きたくないという思いから、このバスが永遠に止まらなかければいいのになんて思う。音楽で耳を塞ぎ、スマホの画面に向かう。できるだけ、現実世界から離れる。

「お前だよ、おい、聞こえてんのかー」
声がして顔を上げると目の前に、目つきの悪い金髪の男の人が居た。多分5つぐらい歳上だと思う。

「な、何ですか?」

「おばあちゃん、変わってあげて。」
その人が指差した先には腰の曲がったおばあちゃんが居た。

「あ、すいません。どうぞ。」席を譲る。

「ありがとーな」
くしゃっとした笑顔で男の人に頭を撫でられた。

その日は一日中あの人が頭から離れなかった。