妃織ちゃんが食べ始めたのを見守ってから、美優も丁寧にパンケーキにフォークを差した。


「あ、美味しい」


目を開いて「美味しい」と言った美優はパンケーキの端っこを少しだけ切り分けると、妃織ちゃんのお皿に乗せた。
なるほどな。美味しい物は、子どもにも分けてあげたいという親心なんだ。

「ママのもおいしいね」と笑顔で美優の方を見ながら、妃織ちゃんも嬉しそうにしている。
やっぱり美優は、俺が思っていた通りの女性だ。


「美優、それじゃあお腹が空く」


そう言いながら、俺はカルボナーラを美優のお皿に取り分ける。


「え!? でも、それだと晃洋さんもお腹が空きます」


美優は慌ててパンケーキを切ると、俺のお皿に取り分けた。
なにやってんだか。

そんなやり取りがなんとなくおかしくて。でも、すごく幸せな気分で。
久しぶりに、一緒にいて楽しいと思える人に出会ったな。もちろん、妃織ちゃんも含めて。


お腹が満たされたあとはお土産コーナーを眺めて、妃織ちゃんにピンク色のイルカのぬいぐるみを購入した。これまた嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめながら「ありがと!」と言ってくれた妃織ちゃんは最高に可愛い。

美優の希望で熱帯魚コーナーを眺めているうちに、抱っこされたままの妃織ちゃんは眠ってしまっていた。