荷物をまとめて慌てて後を追いかけて行った美優は、入り口付近で妃織ちゃんを捕まえて抱っこしていた。


「すみません。もう……本当今日が楽しみだったみたいで」

「いや、構わない。楽しみにしていてくれたのなら嬉しい」


妃織ちゃんの目線に合わせてそう言うと、妃織ちゃんは花が咲いたような笑顔を見せてくれた。
屈託のないその笑顔は、俺の胸をいっぱいに満たしてくれる。

「行こうか」と言ってチケットを3人分購入してから、列の1番最後に並んでから入場。
妃織ちゃんを真ん中にして手を繋ぐと、なんだか家族っぽくて嬉しくなる。

館内に入るなり大きな水槽が目に飛び込んできて、見たこともないような何種類もの魚が優雅に水槽内を泳いでいた。


「ぅわぁ……!! すごい! おさかないっぱいできれい!!」

「おぉ、本当にすごいな」


美優と俺の間でぴょんぴょん飛び跳ねて、全身で喜びを表現している妃織ちゃん。俺は妃織ちゃんを抱っこして水槽の目の前まで行くと、妃織ちゃんはさらに目をキラキラと輝かせた。


「きれいだねぇ。これ、なんのおさかな?」

「これは、エイかな。大きいな」

「エイかー。せんせいと、どっちがおおきい?」

「あはは! 先生も、エイには負けるなぁ」