そんな彼女が気になり、興味を持ったのは言うまでもない。


「気が付かなかった……」

「大き目の傷ですね。消毒して、ガーゼを貼りましょうか」


すぐ近くにいたナースに処置用のワゴンを持って来てくれと指示を出すと、必要な物を準備していく。

綿球に消毒液をたっぷりとしみ込ませてから、鑷子(せっし)で患部に綿球を優しく触れさせ、消毒を始めた。


「いっ……!? 痛い痛い痛い!!」


綿球が触れた瞬間、予想通りの反応を見せる彼女。けれど、予想を遥かに上回る大声には若干驚いた。
まぁ、だいたいみんな同じ反応をする。

俺は経験したことがないからわからないけれど、これが子どもだと大泣きしてしまうくらいだから相当な痛みを伴うのだと思う。


「止血はしていました。けれど広範囲なので、しばらくは消毒の処置が必要ですね」

「うぇ……い、痛い……」


じんわりと血が滲んだ綿球を破棄してから、清潔なガーゼを当てて外れないようにテープで止めた。

涙目になりながら必死に首を縦に振り話を聞いている彼女がおかしくて、少しだけ笑ってしまう。そんな俺のことを「笑うなんて失礼ね」というような表情で見つめる彼女の左膝に、ガーゼの上から真っ白な包帯をぐるぐると巻き付けていく。