心配してくれたのに失礼だったかな?と気になって看護師さんの方を見たけれど、特に気になっていないようで安心した。

「それじゃあ、また時間になったらお迎えに来ますね」と言い残して、看護師さんは病室を出て行ってしまう。
ベッドに座って絵本を読んでいる妃織の横に腰かけると、頭を撫でた。


「妃織、頑張ろうね。ごめんね……」


こんなに小さい身体で、麻酔に耐えられるだろうか。術後、なにか後遺症は残らないだろうか。

たくさんの思いが込み上げてきて、一筋の涙が頬を伝う。
泣いたのも、久しぶりかもしれない。


「ママ、ないてる。どこか、いたいいたい?」

「ははっ……違うよ。大丈夫」


小さいながらに泣いている私のことを心配してくれる妃織のことを、強く抱きしめた。あまりわけがわかっていない妃織は「ママ、だいすき」と言って、小さな腕で私のことを抱きしめ返してくる。

押し寄せてくるのは、不安と後悔ばかり。


「大丈夫か?」


突然頭上から男性の声が降ってきて、ドキリと心臓が飛び跳ねた。顔を上げると、そこには外来を終えたのであろう山内先生が立っている。


「自分のこと、責めてはいけないと言っただろ?」

「えっ、いや。別に責めているわけでは……」