みんな、来てくれている。
父や母はもちろん、アルカンシェルの店長も、部署が変わった梨花も。たくさんの人に支えながら生きてきたということを噛みしめながら、新たなる人生のパートナーのもとへと進んで行く。

晃洋さんが立っているところまで到着すると「娘を頼む」と、声を震わせながら私の手を晃洋さんへと手渡した。
2人並んで聖台の前に立ち、牧師さんと向かい合う。

牧師さんが聖書を読み上げ、誓いの言葉、誓いのキスーー。
みんなの前でのキスはドキドキしてしまったけれど、みんなの前で愛を誓えたようで嬉しくなった。

そして……今日のメインイベントでもあり、1番心配事でもあった指輪の交換。
妃織に、リングガールが務まるだろうか。


「それでは、指輪の交換をします」


牧師さんがそう言ったのと同時に、再びチャペルのドアが開いた。
入り口にはピンク色のドレスを着た妃織が、ガチガチに緊張して立っているのが目に入る。

プランナーさんに声を掛けられた妃織は、リングピローに通された結婚指輪を落としてしまわないよう目をきょろきょろと泳がせながら、こちらへと歩いて来てくれた。


「……パパ、ママ。結婚、おめでとう。大好き」

「妃織……ありがとう。妃織がママの娘で、本当に幸せだよ」