俯いたままの私の顔を、心配そうにのぞき込む晃洋さん。
そのままなにも言えないでいると、さらに強く引っ張られ、晃洋さんの広い胸にすっぽりと納められてしまった。

優しい匂いが、涙を誘う。


「言いたいことあるなら隠さず言って?」


……あぁ。晃洋さんのアメリカ行きが、なくなればいいのに。

そうすれば、こんな気持ちになることなんてなかった?
ーーううん、違う。晃洋さんは、なにも悪くない。

晃洋さんは晃洋さんなりに、私と妃織のことをちゃんと愛してくれている。
それなのに、私が勝手に不安になって、勝手に色々なことを妄想して辛くなっているだけ。

晃洋さんのことをちゃんと信じていれば、こんなに不安に思うことなんてないのに。


「……宇田医院長の娘に、なにか吹き込まれたろ?」

「えっ……」


驚いて、勢いよく顔を上げた。

晃洋さんは「やっぱりな」という表情で私を見てから、大きくため息を漏らす。そのまま私の腕を引っ張って、ソファに腰かけるよう促してくれた。


「美優。今、美優が思っていることを正直に聞かせて」


上半身だけを向かい合わせるように座ると、晃洋さんは真剣な表情で私を見つめる。

……今思っていること、すべて?
ふとさっき思い浮かんだ醜い思いも、すべてということ?