「俺、本当は血を吸いたくて吸い回ってる訳じゃないんですよ。でも、俺、お母さんもお父さんもヴァンパイアで、色々話を聞いてて」

「どんな話を聞いて育ったの、、?」

彼の顔は段々と曇っていく様子が伺えた。

「、、、ヴァンパイアだってことを明かすと、殺そうとするやつがいるって」

やっぱり、みんなヴァンパイアは敵のような存在なのだと実感した。
実際わたしも敵対している。

「そっか、じゃあもう深く考えないようにしようか!」

(あまり乗れないけど、、、)

「ん、」

私は服をのばし、彼に首元を見せた。
すると彼は「いいんですか?」と聞いてきた。

「出来れば、早くして欲しいんですけど!」

「すみません、ではお言葉に甘えて」

彼は後ろから私に抱きついて、首元に歯を突き立てた。

んっ、と少し漏れた私の声に彼は過剰に反応して「気持ちいい?」と意地悪な質問をしてきた。
彼から漏れる色っぽい吐息と、微かに感じる気持ちよさで頭がふわふわしてくる。

「あんまっ、最高、、」

恥ずかしさと、気持ち良さでそろそろ限界を迎えてきた。

「も、もう終わりっ、」

プハッ。

「元気を取り戻しました、どうもありがとう。吸った後、こんなに感謝したのは初めてです」

さっきまで泣いてた人だとは思えない明るい声だった。

「元気がないと、気分が悪くなるんですか?」

「えぇ、気分が下がってしまうんですよ」

話を聞いて、やっぱりこの人は皆が知ることの出来ないくらい辛い思いをしてきたんだろう、と私はこれまでに無いほど深く考えこんだ。