壁を隔てたリビングには美しい時戻しの魔女が眠っていて。
 10年後は彼女の親友で、一緒に住んでいた。
 昨夜は、モニカに騙されていたショックで、もうこれからは誰も、私のテリトリーに入れるものか、と自分に誓っていたから、その誓いを破るくらいシアのことを信用していたんだ、と改めてその存在を有り難く思った。


 そんな心許せる親友が居て。
 身体の事情を知っても、愛してくれる恋人が居て。
 結構幸せな10年後なのに。
 無理をしてまで、シアは私を助けに来た。
 ……どうして?
 それまでの関係が変わってしまうかもしれないのに、どうして?


 聞きたいことはたくさんある。
 この時点に元々居る10年前のシアは、貴女が来たことでどうなったのか?

 シアの年齢さえ聞いていなかった。
 あの、私に対する余裕の感じは、いくつくらい年上なんだろう?


 恋人の名前も聞きたい。
 貴女が知っているフィリップスさんとは、どんな関係だったのか……も。

 通りすがりに付き添っただけで、何度もお見舞いに来てくれたらしいし。
 そこから付き合いが始まって。
 だから、シアも彼のことは知っているんだ。
 彼女が名前を言わなかった私の恋人は、もしかして……