毎週土曜の帝国語のレッスンが同じ邸内で行われているのが苦痛だった。
 10歳を過ぎたら、リアンも参加していて、習得のスピードは貴女より早いらしいし。
 それから逃げたくて第1土曜は孤児院、第3土曜は病院の慰問。
 第2第4は刺繍のレッスンを入れて、なるべく邸には居ないようにしていたの。



 ムーアの親戚が時々来たり、反対に招待されることもあったわね。
 皆さん親切で最初は楽しいのだけれど、宴も半ばを過ぎれば、大人達は商売の話を始める。
 そしてその中に、私と同じ年頃の子供達も混ざりだして意見を言ったりする。
 ムーアの子供達が優秀過ぎて怖かった。


 私はそれに参加出来ないの。
 入るな、と言われたことはないけれど、理解出来ないから。
 ぼろを出さずに済むように、余計なことは言わないで、微笑んでみせた。
 小さい子供達の面倒を見る、女らしくて優しい子だと思って貰えるなら、それでいい。


 それだけでいいから……ムーアじゃなくても、ここに居ても良いですか、って皆さんの前で言いたかった。



 皆さんからいただくプレゼントもそうだった。
 私には、素敵なドレスやアクセサリー、最新の恋愛小説。
 ジェリーには、訳の分からない分厚い本や望遠鏡。