帝国語を習い始めて半年が過ぎた頃、辛そうだった貴女がいきなり片言で話せるようになりだしたわね。
 流暢にではなかったけれど、とうとう先生と意思の疎通が出来るようになったの、と嬉しそうに言っていたのを、今でも覚えてる。
 その時初めて、私は失敗したのかも、と思った……
 私も同じ様に、諦めないで半年続けていたら?
 話せるようになった?



 同じ頃叔父様から中等学校卒業後の進路として、王都の高等学院の話を聞いたの。

 昔とは違って淑女科や騎士科は廃止されて、普通科しかないこと。

 入学試験を受けなくてはいけないことや、学生寮に入ること。

 王都に住んでる自宅通学組は、中等部からの内部進学だけど成績は大したことないから、恐れなくていいこと。

 地方から来ている寮生は、地元の秀才が来ているから、切磋琢磨して成績があがること。

 女性だからと言って、男子生徒に遠慮などしなくていいこと。



 ……叔父様は素晴らしいことのように仰ったけれど、私には無理だと思った。


 だから、隣の領地のマナースクールに通いたいと伝えたの。
 クレストンでお家に余裕がある女の子は、皆そこへ通うから。 
 遠慮は要らない、と言われたけれど、遠慮などしていない。
 ここに居たい、と言い続けたの。