聖女派の男達から母を守ろうと間に入った14歳の弟、フロリアンが突き飛ばされて、教会の石段から落ち、動かなくなった。
クレイトンから一番近い大きな病院は、隣の領地にあった。
そこに運ばれて、外傷の手当ては受けたが、頭と背中と腰を強く打った弟はまだ意識が戻っていなかった。
私の身代わりに?
何の罪もない弟を襲ったその事故、いや、傷害事件を聞いて。
始めに頭に浮かんだのは、それだった。
オルが足止めしたお陰で、私は腰を打った事故から逃れられた。
もしかして、その身代わりに弟が?
畏れ多いことだけれど、神様は同じ数の生贄を同じ血筋から捧げるようにと思し召している、とまで思ってしまって……
◇◇◇
矢継ぎ早にフィリップスさんの説明と指示が飛ぶ。
「今夜のチケットは、お嬢さんと僕と侯爵家の三流弁護士の分だ。
とにかくペイジ夫人がモニカに、今すぐ爵位を受け取れ、自分達は使用人やノックスヒルの関係者全員を引き連れて、直ぐに王都へ帰るから、後はひとりで好きにしろ、と激昂なさっている。
予定より譲位が早まるかもしれないから、向こうの弁護士も同行させる」
クレイトンから一番近い大きな病院は、隣の領地にあった。
そこに運ばれて、外傷の手当ては受けたが、頭と背中と腰を強く打った弟はまだ意識が戻っていなかった。
私の身代わりに?
何の罪もない弟を襲ったその事故、いや、傷害事件を聞いて。
始めに頭に浮かんだのは、それだった。
オルが足止めしたお陰で、私は腰を打った事故から逃れられた。
もしかして、その身代わりに弟が?
畏れ多いことだけれど、神様は同じ数の生贄を同じ血筋から捧げるようにと思し召している、とまで思ってしまって……
◇◇◇
矢継ぎ早にフィリップスさんの説明と指示が飛ぶ。
「今夜のチケットは、お嬢さんと僕と侯爵家の三流弁護士の分だ。
とにかくペイジ夫人がモニカに、今すぐ爵位を受け取れ、自分達は使用人やノックスヒルの関係者全員を引き連れて、直ぐに王都へ帰るから、後はひとりで好きにしろ、と激昂なさっている。
予定より譲位が早まるかもしれないから、向こうの弁護士も同行させる」