もったいないなあと思いつつも、それが愛莉ちゃんだ。
…私とは大違いで、なんでもはっきり物を言えて羨ましいなあ。
不器用な性格だと自覚している私は、口下手で思うように思っていることを伝えられない事が多いから。
愛莉ちゃんみたいに美人でもないし、ただのそこら辺にいそうな平凡女子だもん。
「……よ」
……それにしても、この学園に吸血鬼がいたなんて…私、やっていけるかな。
指先がつめたくなっていくのをはっきりと感じながら、両手をぎゅっと握った。
「……小夜!」
「っえ」
「ぼーっとして……大丈夫?」
「えへへ、ついうっかり…。大丈夫大丈夫」
へら、と軽く笑った私を見て、愛莉ちゃんは少し怪訝な表情になったまま。
「……本当に、大丈夫?」
「…、……うん」
大丈夫。
そう伝えたら、愛莉ちゃんは眉を下げて困ったように微笑んだ。
そして気を取り直すように、
「じゃあそんな無知な小夜に教えてあげよう。この学園にはね、ーーーー」
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