「教師は生徒の成績や内申書などを握っている。
大学入試、特に推薦の場合や就職先へ提出する書類の中にある内申書は教師が書くわけで、そこで書かれた内容を生徒は原則わからない。
そういうことで仕返しをしかねないってことだ。
本来自分の高校の生徒を落とすようなまねはしないとは思うが、普通の教師じゃ無ければわからないしな。
実際書かなくても、書くかもしれないぞ、という圧力にはなるだろう。
それについては生徒会の三年も既にターゲットになる訳だが」
「そんな。じゃぁ生徒会は黙っていれば良かったの?」
そんなことを言われたら生徒は教師に立ち向かえない。
現に教師の印象を良くしようとご機嫌を取る生徒だっている。
間違っていることを間違っていると行動した生徒達が馬鹿を見て、今後萎縮したら意味が無い。
「生徒達だけでやるには限界がある。
だから大人にも助力してもらえば良い。特に俺とか」
「それは、おかしいと思う」
本村に熊さんを侮辱されたことは未だに腹立たしいし、きっと出て行けばよからぬことを言いそうだ。
熊さんを学校で関わらせたくない。でもそこは知られたくは無い。
「学校の中のことは、生徒だけですべきなんじゃないの?」
私の不満げな言葉に、熊さんは表情を変えない。