「そうか」


熊さんはそれだけ言って、ご飯を食べているので何だかむっとしてしまう。


「言いたいことあるけど黙ってるでしょ」


「いや」


「わかるんだから、そういうの。

熊さんがお説教してこないのは、やったことが正しいと思ってるから?それとも私達の行動は間違ってたの?」


ちらっと私を見て、熊さんは既に三杯目のビールを飲みつつカクテキを摘まむ。


「高校という狭い世界でそれだけ教師に立ち向かった、それは凄いことだ」


「でも納得してるというか賛成してないよね?」


熊さんは箸を皿の縁に置くと私を見る。


「教師から生徒がセクハラ被害を受けていると知ってその場合、他の学生は黙っているか、一緒に抵抗するかだ。

そしてその行動の内容だが、被害に遭った女の子達が行動できないから生徒会が動いた。

その際、校長ではなくまずは本人に証拠を作って突きつける、手段としては間違ってない。

だがそれをしてもその教師はしおらしくなるとか、心を入れ替える訳じゃないよ。

おそらく今の生徒会長達三年が卒業してその教師がまだいるのなら、乙女ちゃん達が憂さ晴らしのターゲットになりかねない」


「だからセクハラの証拠を掴んだんだと思うけど。うかつにそんなことするかな」