「小林先輩が校長に話すかって言ったんだけど、秋山先輩はまずはセクハラ教師と話すべきだと。陰湿だから証拠を押さえようとしたんだと思う」


「小林先輩ってのは乙女ちゃんと同じ副会長で、秋山先輩ってのが生徒会長だったか?」


「うん。で秋山先輩が私に囮役を頼んできたから」


その言葉に熊さんの眉間に皺が寄った。やばい。


「あー、えっと、もう一人の生徒会役員の女の子は既にセクハラ被害に遭ってたし、私は強いから頼まれて私もオッケーして」


無言が怖い。まだ注意をされないところから、まずは話を聞いてからにしようと熊さんが判断しているのだと思いとりあえず話しを続ける。


「セクハラ教師のところに勉強の相談をしてくるってのが私のミッションで、時間は30分。

てっきりその間に触ってきたらそれの被害者として私が証人になるのかと思ったら違ったの。何かあればすぐ逃げろって言われていたし。

そしたら部屋に隠しカメラとマイクを先に仕込んでて、教師の話した内容や行動を録画してたんだって。

私が部屋を出て行くときに、どうもその教師が私の背中を触ろうとしたのを見たからすぐに突入したらしくて。

教師がそういう行為に出そうならすぐ部屋に入るように入り口で映像見ながら待機していたって言うんだから凄いよね。

結局校長とかにはセクハラについて話さないかわりに、今後女子生徒にセクハラしないって約束させて終わったんだ。

秋山先輩って日頃軽そうなのに、やっぱり結構考えてるなって感心しちゃった」


気が付けば必死に話していて、鉄板には既にお肉も野菜もなく私の取り皿には山積みのお肉と野菜。

まだ焼いてないお肉もあるのに、私が話し終えるのを熊さんは待っていたようだ。