それから3年後。
21歳になった年の6月23日。
おいちゃんがくれたチケットで、代表作の映画の主題歌を担当してくれたアーティストのライブに行った。
ライブ中に食べれる様にポテトとコーラを買って。
このアーティストは萌歌が歌手デビューする時にも、楽曲を提供してくれた人。
私も大好きなアーティスト。
なかなかチケットなんて取れないはずなのに。
おいちゃんの人脈って凄いんだな〜と感じながら席に着いた。
屋外のライブ会場は、人で溢れて居て人気度が高い事を目の当たりにする。
席に着いて暫く経つと、隣のおいちゃんが席を変わってと言い出し、私は通路側の席に移った。
ポテトを1つ口に咥えながら、ふと横を見ると……。
「えっ…!?」
『えっ?』
通路を挟んで隣の席の人と目が合い、お互いに驚いた。
『あ〜。初めまして?斉藤です』
「初めまして?天堂です」
隣には一流俳優の斉藤健さんが居た。
初めましてではないけれど、向こうがそう言うので私も合わせて挨拶をした。
斉藤さんもオフの日で、友人達とライブに来たそう。
このアーティストとも、ご友人で、たまたまチケットを難なくゲット出来たとの事。
一流俳優さんは交流関係も一流だと思った。
ライブが始まるまでの間に少し、お話をさせてもらって、ポテトを交換した笑。
同じ味の同じポテトだったのに笑。
のちに、この日が“ポテトの日”と呼ばれる様になる。
『天堂さん、次の作品は決まってたりするんですか?』
「映画が1本、公開になりますかね?」
『大活躍ですね!』
「いえいえ。そんな。あ!斉藤さん、萌歌と共演されてましたよね。あのドラマ見てました♫」
『あぁ、あのドラマ。脚本、面白いですよね〜』
「はい!毎週、楽しみでした♫来年、スペシャルドラマもするんですよね?楽しみです」
『ありがとうございます。そう言っていただけると、やり甲斐があります』
「映画も公開されますね」
『はい』
ニコニコと笑顔を絶やさずに私と会話を続けてくれる斉藤さん。
こんな風に一流俳優さんと話せるなんて、夢のまた夢。
なのに偶然に、同じ日、同じ会場で、同じ様な席で、同じアーティストのライブに居る。
“偶然”がなす奇跡だ。
『あ、天堂さん!』
「はい?」
『連絡先、交換してくれませんか?』
「えっ!?」
この日、2度目の驚き。
その場で連絡先を交換した。