誰よりも優しくて、でもどこか不安定なその心を救ってあげたかった。
この可哀想な、自分と何ら変わらぬ年でその相応さを見出す青年を支えてあげたかった。
けれども彼は禁忌を犯してしまった。
私のために。
「アル、ニス…」
かつての友人の名を呼び、意識が途切れそうになった時。
「椿…っ!!」
深門を押し退けて、瑠架が私を抱き起こす。
首を絞めていた手がよけられて、急激に酸素を求めて必死に息をしようとするけれど。
「げほっ、ゴホッゴホ…っ」
咳が止まらない。
まるで息の仕方を忘れたよう。
「だいじょぶか、間宮ちゃん」
利央に顔を覗き込まれて、必死に頷く。
私、生きてる…?
背中をさすってくれる温かい手。
瑠架の優しい手つきにホッと安堵した。
徐々に呼吸ができるようになってきた。