《いつまで隠れているの?
人目を忍んで遠くから、私を面白がっているのかしら。悪い人ね》


《貴方からはいつも、酔いそうなくらいに甘い薔薇の香りがするの》


《この香りで、近くにいたらすぐに分かるわ》


《貴方が私の側にいてくれるから、貴方の隣にいたいと私は甘えてしまう》


《花冠を作ったの。上手にはできなかったけれど、もらってくれる?》


《ふふ。その花冠、貴方には似合わないわね》


《幽閉されて辛いことなんてないわ。だって貴方がいてくれるもの》


《アルニス。優しくて愛しい、私だけの友人》



……そうだった。


こんなにも優しい記憶を、私はどうして忘れていたんだろう。


病弱で人の目にも触れられないよう幽閉され、外に出ることも叶わなかった私ーールイを、連れ出してくれた。



『ルイのためなら、邪魔なもの全部消してあげる』