「クソ……っ!!」


壁に拳を叩きつけ、どうにも出来ない憤りをぶつける。


当然、気分が晴れるわけはない。



ああ、忌々しい。


もどかしく、それでいて焦れったい。


この上なく不愉快だ。



本当、イライラさせるなぁ――…っ。



歯軋りをしてもどうにもならないことは分かっている。


けれど苛立ちが抑えられない。


行き場のない感情の都合のいい抑制方法など知らない。



だからこそ、あらまし通りに進まない、自身の掻き乱された心に冷静さを欠く。



『思い通りにいかないのなら、壊してしまえばいい』


――いっそ、全てこの手で。



頭の中で無情にも問いかけられた言葉が木霊する。


ふらりと体勢が崩れて、壁に手をついた。



そうだ、全部壊してしまえばいい。


今までだってそうしてきただろう?