「どこ行くん?」
「……勉強をしに図書室へ」
「うっへぇ……間宮ちゃん見るからに勉強できそうだしなー」
……ちなみに、彼が私を苗字にちゃん付けという愛称で呼ぶのは、名前よりも親しみを覚えたからとのこと。
それとなく正そうとしたけど、一向に治る気配がなく、今ではすっかり定着している呼び方。
何事も慣れ……なのだと思う。
「あの…王子、は一緒じゃないの」
「…瑠架のやつがそれ聞いたら嫌がるぞ?」
いつも2人で行動しているのに。
珍しい……と思いながら問えば、何が面白いのか楽しげに返された。
王子は王子なのだけど。
やっぱり嫌がられるか……?
面倒くさいからと定着した呼び名が頭を駆け巡った。
利央と話すと何故だか調子が狂い、本音がぽろりと零れてしまうのが難儀なところ。
今まで心の内だけで留めていた言葉が漏れ出るのだからかなり厄介だ。