かなり失礼な反応だな。


眉間にシワを寄せて、凝視してくるその眼を見返す。



ふい、と顔を逸らすと私を見ていたようで王子とバチリと目があった。


いや、神威と言うべきか、どっちだろう。



「本当にルイ、なのか…?」


躊躇うように口を開いた王子は、私をまっすぐ見つめて問いかけてきた。


すぐに反応できなかったのは、記憶が混濁していたせいもある。


数秒ののち、私は頷いた。



「貴方の言うルイ・マッキンベルが、前世の存在なら……きっと、そうだと思う」


そう答えるや否や、温かい何かに包まれた。


否、王子に抱きしめられた。



「やっと、やっと会えた。お前に会うまで、何度転生して、絶望を繰り返したか分からないっ…」


涙交じりの声に、私は無意識に彼の頭を撫でていた。


こうして抱き合うのも何世紀ぶりだろうか。


焦がれた相手が今、目の前にいる。



だけど……


彼が欲しているのは私であって私ではない。


“ルイ”という名の、私の中に潜む別人だ。