「…ぃ、や……ちょ…っ」



体が動かない。


それどころか、まともに声が出ない。


身体全体の力が一挙に吸い取られているかのような感覚。



これは、なに。


一体なに。



何も考えられない。


自分の力が遠く及ばない。


それらを総括し例えて言うならば、完全な無力。



体に巻きつき締め付ける、細い腕。


熱い吐息が肌をくすぐり刺激する。


絹糸のように艶やかな髪が視界に映った。



「…っ」



ツツ…――と、柔らかい何かが首筋を這う。


それによって触れられた部分が身体中に広がっていくかのように熱を持ち始め、私を敏感にさせた。




滑るように、なぞるように、舌がそっと。


ある目当てを探して流離うように何度も、何度も。