このクラスだけでも盛り上がれば、他の生徒たちの気持ちも引っ張ることができる…かも?
これも廃校阻止のために必要不可欠なことだ。
「おうっ!!焼き肉っ、みんなで行くぞーーー!!!」
「「「おーーっ!!!」」」
実は焼き肉で釣れた野郎ども。
ここでわたし、男子校に生きるがゆえの必勝法をゲットした。
パワーワード:焼き肉。
「おいでカンナ」
「うんっ?…わ、」
こんなにも本人の意思を聞かない“おいで”もなかなかだ。
制服姿、ジャージ姿、それぞれ混合するなかで揃ったグラウンド。
気づけばわたしの身体は頼くんに背中から包み込まれていた。
「やっぱ変化球のひとつくらいは持っておかないと」
「カーブとか!」
「って思わせたスライダー。かなりの必殺技になるだろうから教えとくよ」
すらいだー…?
変化球と言われて思いつくものはカーブくらいだった、わたしの脳。
それくらい無知だったというわけだ。
ボールを握ったわたしの右手に、頼くんの手がふわっと重なった。