頼くん、ギターできるの…?

そーいうのぜんぜん聞いてなかった。


ムツミがドラムだということは知ってるけど、そんなムツミも今はバンドから離れてるっていうし。

頼くんも、いつも楽器を持って登校してくることもない。


このクラス内でわたしを除いて放課後忙しくバンド活動に向かわないのは、琥珀くん、頼くん、ムツミだった。



「それと、もし今年の体育祭で1勝でもした場合。───なんとカンナの奢りで焼き肉だってさ」


「え」


「まじ!?よっしゃあ!!オレやるわ!!!」


「俺も!!言ったからなカンナ…!!」



え、言ってない。
というよりチョロすぎない…?


焼き肉で動いてくれるなら、もっと早く言ってよもう。

いや待って、この人数の男どもの焼き肉って……とんでもない値段にならない…?


頼くん、ねえ頼くん、勝手にありがとう過ぎるよ。



「そうだろ?カンナ」



ニッと意地悪に笑った友達は、ここで振ってきた。

明らかに男たちの意欲が戻ってきてる。
それはもう見違えるほどに。