奴らの意欲は落ちに落ちまくっている。


わたしがどんなにグローブやバットを持って向かっても、見向きもしてくれない。

それどころかスマホをいじっては音楽を大音量で流し始める生徒まで。



「な。これが神藤学院の現状だ」



ぽんっと、わたしの肩に手を置いてくる担任の斎賀先生。



「アイドルコースの連中もSNSに上げる写真や動画撮影に没頭」


「………」



野球の“や”の字もないとはこのことだ。


もともとは神藤学院の大きな魅力として「学業と特殊コースの両立」というものが特徴だったが、今はただ甘彩学院に負けないために必死というのが現状らしい。


そのためには個性を出していくしかないんだと。

だとしても向こうの共学&寮生活&選択科目制という魅力に惹かれてゆく生徒多数、授業どころではない。


これか、廃校の危機の大きな理由は。



「俺っ、ピッチャーやるから!!頼くんキャッチャーね!」


「…勝手に決められたし」


「ほらミット付けて!怪我するぞ!」