「楽器、とくにできるわけじゃないし…、理事長の孫だからって理由も当てはまらないでしょ」
君にずっと、ここにいて欲しいから───、
なぜかそんな理由を思い浮かべてしまった。
廃校阻止のため、生徒たちの意欲と過去の栄光を取り戻すため、それが本来の目的。
「この学校が……好きだから!」
それがいちばん、しっくりきた。
家のため、家族のため、そういう重苦しい話に彼らを巻き込みたくもなくて。
ただ、みんなが居たいと思えるような学校を作りたい。
それは本来の目的とも合致する。
「次の体育は野球だけど、カンナできるの?」
「もちろん!やったことないけどっ」
「……今の返答アホの子すぎない?」
「あっ、ジャージに着替えなきゃだよね?遅れたら斎賀先生にグラウンド走らされそう!」
それから4人で並んで教室へと戻る。
琥珀くんが食べ切れない重箱のおかずを残りの3人で分けあったり、わたしの口に琥珀くんもお昼ごはんを詰めてくれたり。
なんとも楽しいお昼休みを過ごせた。