わたしたちが揃ったスペース、ちょうどもうひとりぶん空いていた。


朝のことは気にしてない。
気にしないようにしてる。

男がそーいうの、気にするほうがおかしいもんね。


それに間違っていたのはわたし。

アホやらかしたのは、わたしなんだから。



「……どうも」



そう言って、ムツミの隣。

つまりは頼くんの向かい側に座った琥珀くん。


今の“どうも”は“ありがとう“って意味だと解釈してもいいかな。

それくらいは、いいのかな。



「え!琥珀くん重箱…!?」



彼は食堂で買ったのではなく、手持ちのお弁当箱を持参しているようだったのだけれど。

まさかの3段造りとなっている重箱だった。


そんなに食べるイメージもなくて、どうしても琥珀くんが重箱とは結び付かなくて、最近でいちばんの驚きかもしれない。



「琥珀、今日は逃げ切れなかったんだ?」


「…うん」



逃げ切れなかった…?

幼なじみ同士の会話とやらは、まったくわたしに理解させる気が無いみたいだ。