そこまで言って、ムツミは自分の口を咄嗟に押さえた。
そしてまたドタバタと距離を置かれてしまう。
「男だろお前は…!!なんっつー顔してんだよ…!!」
「ひゃっへおいひーひゃひゃ」
だって美味しいから。
美味しいものを食べると幸せな気持ちになるのはみんなそうでしょ?
わたしだけじゃない、ぜったい。
「だから男にそんな動揺するとか気持ち悪すぎだってムツミ。そんなこじらせてたっけ?」
「ううううるせーって…!!」
と言いつつ、わたしと頼くんが座るテーブルの向かい席に座ってくる。
最初はわたしひとりで食べていたというのに頼くんが来て、ムツミも増えて。
決まった友達としかつるまないような女の子と違って、男の子ってこんな感じなのかなあ?
「あっ、琥珀くんも学食なんだ…!」
たまたまわたしたちのテーブル付近を歩いていた男の子は、ガタッと席を立ち上がったわたしに気づく。
「…郡さん」
「今わりと混んでるからっ、良かったらここどーぞ!!」