「おいっ、頼!さっきから近すぎんだよ!!」
そんなとき、わたしに寄りかかっていた男をベリッと離したクラスメイトが現れた。
茶色い短髪デコ出し、わたしに笑顔を見せるなと忠告してきたヤツ。
「なに、ムツミ」
「ななななにって、男同士がそんなくっついてどーすんだよ!」
「別にいいだろ。男同士なんだから」
「っ、あぁぁあああ!!」
言葉が詰まり、追い打ちを食らい、とうとう頭を抱え始めたムツミ。
「俺は女が好き、俺は女が好き…」と、またぶつぶつ自分を呪っているかと思えば。
「シュークリーム!!」
「わっ…!」
ガシッと掴まれたわたしの肩。
わたしの反応を聞いてから、焦ったように力が緩められる。
「俺には……ねーのかよ、」
「へ?」
「っ、だからっ!俺あんなに昨日おまえの世話してやったぞ!!俺に渡すべきだろそれは…!!」
「……あ、確かに」
そういえばそうかも。
ごめんムツミ。
忘れてたわけじゃないけど、昨日は本当に琥珀くんのことしか頭に無くて。
あとは誰かさんに見破られた不安でいっぱいだった。
「頼くん、シュークリーム返して!」
「は?」
「はいムツミ!昨日はありがとう!」