わたしの動き、止まる。

天井に上がっていたクラスメイトの腕も、ゆっくり下ろされる。


なにが起きているのか、いまだに処理できず。


ただ、アホの子と呼ばれた。
この人にもそう呼ばれてしまった。



「ここ、女は立ち入り禁止なんだよ」



小さな子供に言い聞かせるように優しく言われたと思えば、今度は迫ってくる。

じりじりと後ずさる余裕もなく、腰に回されていた腕。



「わひゃ…っ」


「…やっぱり当たりだ」



耳元、寄せられた唇。

たったそれだけで隠すことが不可能だった自分の性別。


すぐにわたしは「やめろっ」と、小さな抵抗をする。

……けれど「ふっ」と笑った彼に、もっと引き寄せられては終わった。



「まあ自ら食われに来たってんなら……大歓迎」


「っ、……うむっーー!」


「お、ちゃんと叫べる子」


「ふっ…、んんー…っ」



口元を押さえられながら、ワイシャツのなかに侵入してきた手。


くっそう…、

この人だけは派手なクラスメイトのなかでも暗い髪色で、シンプルなアクセサリーしかしていなかったから正直ナメてた……。