「返してっ!これは俺の!」
「いや、お前のではないだろ」
「なっ、なんで知ってるの…!とりあえず返せよ頼くん…!」
遊んでる…、
この人ぜったいわたしで遊んでる……!
ぴょんぴょん跳ねてみても、一向に掴めないパーカー。
「俺、琥珀とは幼なじみだからさ。今日のうちに渡すよ」
「そんなっ!これは俺から返したかったのに……!」
ここで琥珀くんと彼の関係性が、ちょっとだけわたしのなかで繋がった。
それにしても幼なじみだなんて羨ましい。
いつから幼なじみなんだろう、小さい頃の琥珀くんはどんなだった…?
やっぱりその頃から天才肌で才能のかたまりなのかなあ。
ハッ…!
そんなこと気になってる場合じゃないっ!!
「俺って、言いづらくない?」
「言いづらいっ」
「ここ、生徒用は男子トイレしかないけど平気?」
「うんっ!そこは俺べつに個室だからっ」
「……アホの子。男の子のふりなんかしてどーしたの」
「それはいろいろ事情がっ、…………え…、」