「どう?この高校ではやっていけそう?」


「お、おう!ムツミも変だけど良いヤツだったしっ」


「それは良かった」



奥に入れてあった大切なパーカーを取り出して、また明日リベンジしようと畳み直す。



「琥珀くんとはもう少し仲良くなりたいけど、隣の席だから焦ることないよなっ」



勝手に約束をこじつけたのはわたしだし、彼の返事を聞くこともしなかったのはわたし。

ミステリアスな雰囲気をまとわせているのが琥珀くんって感じだから、帰られちゃったことに対して驚きは少なかった。


けど……落ち込みはする。



「…へえ。なるほどね」



ボソッと、まるで何かを確信したような言葉が聞こえた。



「え?」


「これ、俺が返しておいてあげるよ」


「へ…?わ…!ちょっ、それっ」



奪われてしまった神様のパーカー。

わたしから彼の手に返したかった、ひとつのきっかけ。


は、御堂 頼という男にサッと取られてしまう。